2008.10.15

三部作でさよなら

 ついに終焉に

ネコソギラジカル (上) 十三階段 (講談社ノベルス)
ネコソギラジカル (中) 赤き征裁VS.橙なる種 (講談社ノベルス)
ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)


 物語の外に行きたいって云う登場人物は、なかなか一筋縄ではいかんでしょうね。ディーバという映画に出てきたギリシャ人みたいな、いわゆる狂言回しになりたいのか、というと、もっとアグレッシブな役割らしいです。だいたい「終わりが見たい」らしいし。
 物語の枠組みを壊さずにこれだけ無茶やれるのは素晴らしい。
 欲を言えばラストがいまいちすっきりしない点でしょうか。どうもよくわからない。これハッピーエンドなのかな?

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2008.10.07

着陸とは制御された墜落

 ゲストキャラが良い感じ。

ヒトクイマジカル―殺戮奇術の匂宮兄妹

 ラスボス登場、と作者も云っている通りです。
 登場するキャラクタの一人がとうとうメタフィクション的言動を弄し始めます。しかし背景としての「物語」の絶対性はとりあえず保たれています。さてこのまま終焉に向けてうまく着地できるのか? と心配しながら次巻に向かうひねた読者。

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2008.10.05

エラリークイーン

本格派と呼ばれているのかどうかは知りませんが、この作家がその流れをくんでいる気はします。

サイコロジカル〈上〉兎吊木垓輔の戯言殺し
サイコロジカル〈下〉曳かれ者の小唄 (講談社ノベルス)

 二人の主要登場人物の「闇」がどんどん前面に出てくる第四作です。上下巻のボリュームですが、勢いがあって一気に読めます。
 思い出したのが、敵は海賊で、シリーズ途中でラテル、アブロそしてラジェンドラ(人物じゃないけど)の「怪物性」が次第に明らかになってくる(匋冥は最初から正真正銘の怪物だけど)のにちょっとどきどきしたこと。
 今までへらへらしていた奴らが、実はとてつもなく危険な生き物だったみたいな感じ。
 トリックを成立させる力業も相変わらずお見事。以前の話を思い出させるフェイクも入れて、読者を引きずり回します。オチが古典的なのも、ご愛敬。

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2008.09.28

無敵キャラの存在

「最強の赤」の独壇場です。

クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子

 ちょこちょこ出てきていた無敵の登場人物が、全面にフィーチャーされてます。
 相変わらずの内省的な一人称の中で「無敵キャラ」を物語世界で如何に存在させるか、という問題の解答が綴られている気がしました。ただし、解答自体はありきたりです。いわば、スペンサーがポールやスーザンの存在のおかげで物語の中に存在できたように。
 前作に続き、一癖ある萌えキャラも登場しますが、彼女の造形も良い感じ。

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2008.09.25

かつては実験的手法

 エンターテイメントというのは面白くなければ評価されないわけです。

クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識

 二作目を読んだあたりから、登場人物が物語の外枠にがんがんぶつかっている音が聞こえて仕方ありませんでした。しかし、筆者の文章力は思いの外堅実で、枠組みはしなやかで壊れる気配はありません。
 読者である私は、安心してこの危うさを楽しむことができました。
 一作目からその気配はあったのですが、ここにきて語り手である「僕」が普通とはほど遠い存在であることがいよいよ確実になる第二巻です。ああ、びっくりした。
 ミステリとしての完成度も及第点のできだと思いますが、おそらくそれだけでは、ココまで売れなかったでしょう。言うなれば「新鮮だが細工も巧妙」。生意気な板前だけど、腕はなかなか、という印象でした。

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2008.09.23

危ういバランス

 人気作家なのにやや敬遠していました。

クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い

 敬遠していた理由はこの人がどうも肌に合わなかったせいです。物語世界を破壊する意気込みは感じるが、その方法論は好みではありませんでした。
 で、西尾維新ですが、どうも彼と仲良しらしいし、JDCシリーズも書いてるらしいし……ということで、読んでませんでした。
 読んでみたら、方法論的には似ているのですが、微妙なさじ加減で、かろうじて私の許容範囲内に着地していました。
 舞台は天才の集う孤島。森博嗣ばりの底の抜けた教養主義と、冗長な弁論を駆使する内省的な主人公。語り口は繊細で、野田秀樹みたい。
 タイトルが内容だけでなく真相をも暗示する仕掛けにもにやりとして、十分楽しみました。

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